独立を決めた8年前の旅の最後、NYから東京へ戻る際、JFK空港とラガーディア空港を間違え、しかも小銭をもたず空港間の移動を困っていた私を助けてくれたのが、ユナイテッド航空の社員であった。彼は私のバス代を無言で払い、一緒にJFK空港へ移動し、私が「ユナイテッド801便」に乗ることを知るとチケットを貸してごらんといって、なんとディスカウントで買ったエコノミーチケットを、魔法のごとくビジネスクラスに変えてくれ、しかもビジネスクラスの利用客だけが利用できるラウンジに案内してくれた。(そのときいただいた名刺は今も大切に保管している)
この一件で、私は独立する勇気と元気をもったといっても過言ではない。観覧車をパリで見て、NYに幸運なことに助けられ・・・・。
それから私は飛行機ならばユナイテッドと決めてその系列以外は利用しなくなった。そして、5年前の同時多発テロの日も1日違いの便に乗り、命拾いをしたときも、ユナイテッドは私たち乗客がアラスカのフェアバンクスに緊急着陸し、次の移動ができるまでの3日間、ホテル代から食事代からかかる費用のすべて負担をした。そんなこともありその後、経営が危なくなった・・・。
私はずっとユナイテッドを応援し続けた。若くはないフライトアテンダントたちのユーモラスな人間味あふれるサービスに、生涯職業をもつアメリカ女性たちのたくましさを学んだし、サービス業の本質は、「自然体の心」であることも教えてもらった。決して、気取りもなく上品とはいいがたいがそんな彼女たちの応対が大好きだからだ。
そして、マイレージサービスのしくみを勉強させてもらったし、何よりアメリカより届くDMが新鮮でいつもうれしかった。それなのに一番利用していた、NY〜TOKYO間の直行便が本年10月で終了となった。10月のとある日、最後の800便・801便を利用。とくに最後JFK空港から東京へ戻る際の、ラウンジのスタッフ、レッドカーペットクラブの受付のスタッフ、そして機内のスタッフたちと会話をした。911の話をしたら、目を赤くするスタッフもいた。「もう東京行きの直行便はなくなるね、さびしくなるね」ラウンジのスタッフは、もうすぐ解雇になるともいった。企業の再生のためには、このような事態もありうる。
東京からはNYではなく、シカゴ・ワシントンがこれから窓口となる。私にとって独立を決めた、そしてテロのときも生きて帰った…など思い出いっぱいの801便。
いつもアメリカで得た勇気をもって帰った便である。また近い将来、復活してほしい。それまでしばらくはアメリカの他の都市を経由してNYへ向かう。ありがとうUA801便。
またいつか!